Billboard live



 総勢17名。とてつもなく太いベースライン。うねるようなキーボード。カッティングとリードが交差するギター。そして、入れ替わり現れるヴォーカリストがメッセージを叩きつけ、客席を煽る。パーラメントとファンカデリックの名義を自在に使い分け、ファンク・ミュージックをクリエイトし続けてきたジョージ・クリントンがついに[ビルボードライブ東京]のステージに降り立った。

 オープニングはメンバーのみでの「バップ・ガン」「アンディスコ・キッド」。のっけから「ウィ・ウォント・ザ・ファンク!」のコール&レスポンスで客席が熱くなる。長い鼻を付けた白い毛皮のカルロス“サー・ノーズ”マックマレイがステージをうろつき出せば、そこはもうP-FUNKワールド。昨年この世を去ったゲイリー・シャイダーの姿すら見えるようだ。そのグルーヴに乗って、ジョージ・クリントン総帥がふらりとステージに登場。トレード・マークだったレインボー・カラーのドレッドではなく、普通の(!?)ヘアスタイルに変身していたことに驚かされながらも、迷彩柄のパンツと装飾だらけのジャケットでの登場は、まさに総帥の貫録。そこから曲の中に曲が入り込んだメドレー・スタイルのノンストップ・ファンク・パーティー。各ステージによって多少選曲が異なったものの、「フラッシュ・ライト」「アトミック・ドッグ」「ニー・ディープ」「マゴット・ブレイン」「バウンス・トゥ・ディス」「アップ・フォー・ザ・ダウン・ストローク」「ギヴ・アップ・ザ・ファンク」など、ファンクの“世界遺産”が次々に繰り出される。

 その間、メンバーは楽器を交代したり、あちこち歩き回ったり、他のバンドでは有り得ない自由自在なパフォーマンス。ヴォーカルやギターのソロ・パートでは全体にジャジーなアレンジなのが印象的だ。途中、クリントン総帥がヴォーカルならぬ(!?)かすれた叫び声を上げる、まるで波をくらった船のように演奏がぐらりと揺れる、そんな奔放さも唯一無二。しかし、次の瞬間にはベーシストの太い舵が切られて、その軌道を修正、さらなるうねりに豪快に乗り始める。

 最初からわかっていたとはいえ、これはファンクという名の祭り。言葉も国境も超えて、人間の根源的な魂を解放してくれる祝祭。ファンクが充満したクラブの中央に満面の笑みで立つジョージ・クリントンは、まさに“有り難い”オーラを発していた

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