ビルボードライブスタイル


まずこの新たなプロジェクト、Twin Dangerの結成秘話について教えてください。このプロジェクトで、ヴォーカルとギターを担当しているヴァネッサ・ブレイとはどのように知り合ったのですか?

このプロジェクトは、“ジャズ”の作品を作ろうと思って、結成されたわけではなくて、偶然が重なりあった結果、現在に至っている。元々ヴァネッサのユニークなソングライティングとプロデュースのセンスにはとても惹かれていた。友人としても、すぐ仲良くなれたし、二人とも好きな音楽が二極化していると言うところも似ていた。ザ・クラッシュとショパン、チェット・ベイカーとカンとか…Cから始まるバンドだけでもこれだけある(笑)。

ある日僕が変わったジャズ調のコードで遊んでいて、そのことをヴァネッサに話したら、音源を送って欲しいと言われたんだ。そしたら翌日には、そのコードを元に彼女は1つの曲を作り上げていた。これが「Just Because」という曲で、さらにコードを送ったら、同じように曲を書いてくれて、そのままこのプロセスを続けていったんだ。


ヴァネッサのヴォーカルは、とても特徴的で楽曲も絶妙にマッチしていますよね。

長年、彼女のソロ・アーティストとバンドのBeast Patrolとして築いてきたキャリアについては知ってて、彼女の真実味溢れるパフォーマンスはとても素晴らしいと感じていた。そのスタイルは、このプロジェクトにもピタリとはまった。もし彼女が、ジャズ・シンガーのように歌おうとしたら、まったく別ものになっていたと思う。彼女らしくて、よりセクシーでクールだよね。


このバンド以前には、レゲエやエレクトロニックなどのバンドをやっていましたが、サウンド面においてジャズよりのものになったのは?

僕は色々なスタイルの音楽が好きで、もちろんジャズもその中の一つだ。その上レコードオタクだから、家には莫大なコレクションがある!だから自分のソングライティングやプロダクションに、それがおのずと表れているは自然なこと。ヴァネッサの父親は、偉大なジャズ・ピアニストのポール・ブレイで、彼はチャーリー・パーカー、チェット・ベイカー、ジャコ・パストリアスなどと演奏しているから、もちろんその影響は彼女の音楽にいずれは表れるものだったんだと思う。まさに遺伝だよ!

それがこのバンドのサウンドに反映されたのは、ドラム&ベースのスタイルとお互い好きな一見風変わりなハーモニーを彼女のヴォーカルとブラスに合わせようと思ったことから。プロダクション面においては、必要最低限に抑えたものが好きだから、ミキシングでは1つのリヴァ―ブを除いて、エフェクトは加えていない。2人にとっていい息抜きとなったのは間違いないね。お互いに好きだけど、まだ携わったことのない事のないジャンルにチャレンジする。自然な流れだったよ。


バンド名のTwin Dangerというのは、どのような経緯で?

僕達の中で、別人格のことを“twin danger”と呼んでいるんだ。言葉通りの意味だと、人には誰でも色々な面がある。たとえばネット上のパーソナリティーと実生活でのもの。さっきも言ったように、このバンドは偶然出来たもので、ヴァネッサのバンドBeast Patrolのサウンドとはまったく反対とも言える。“危険”なのが、僕たち2人ともこのバンドのことが好きすぎて、優勢な“一面”になりかねないからなんだ。


アーティスト写真、ミュージック・ビデオを始め、アートワーク全般がモノクロで、まるでデヴィッド・リンチの作品のような世界観ですが、音楽を作る上でヴィジュアルの面も重視していますか?

もちろん。ヴィジュアル面も何かを創造する時に重要な要素だと感じる。それは作曲やレコーディングをしている時に、頭の中でストーリーを作るのを手助けしてくれるから。自分が映画の設定の中に入るような感覚に近いかな。僕はイギリスで幼少期を過ごしたけど、アートワークなどのヴィジュアル面はもちろん、好きなアーティストの大半は、ストーリー性だったり、デヴィッド・ボウイのように別人格あるようなアーティストやバンドばかりだ。セックス・ピストルズ、ロキシー・ミュージック、それにマイルス・デイヴィスも!


数々の映画音楽も手掛けていますが、このアートフォームの為に音楽を作ることに惹かれる部分は?

映画の為に音楽を作るのは、通常とは全く違うチャレンジだよね。観客が知らずのうちに…だといいんだけど、彼らの感情を操るという発想に惹かれる。自分の為に音楽を作るとそれを誰が聴くかということまでは深く考えない。でも映画だと観客の感情を第一に考え、監督やプロデューサーなども満足させないといけない。僕みたいにエゴが大きな人間には、難しいチャレンジだよ(笑)!


シャーデー以外にも、この新たなプロジェクトや映画音楽などに携わることは、創造力を保つのに重要だと感じますか?

僕はいつでも音楽に触れていないと、いてもたってもいられないんだ。幸運にも音楽に情熱を注ぐことが僕の仕事でもある。いつどこにいても自分の周りで起こっている出来事に、インスピレーションをもらっている。それがたとえ音楽と関係のないことでも。NYに住んでいることも大きいね。この街がもっている莫大な創造力とそのエネルギーをいつでも吸収しながら生活している。


プロデューサーの視点から、いい曲の定義というのは?アルバムの場合は、異なりますか?

僕にとって“曲”の中核にあるものはメロディと歌詞。サウンド・プロダクションを重ねた結果、面白いものが生まれることもあるけど、そこに頼りすぎないことも重要だと感じる。たとえば、その曲が1本のギター、ピアノの伴奏のみで演奏された時に、同じように心に響くのか…。余計なものを取り除いた時に、ちゃんと一つの曲として成立するのか。アルバムに関しては、一貫したダイナミズムがあるかどうかだな。すべての曲がラジオで流れるような完璧なプロダクション・クオリティでなくてもいい。多くの場合、シンプルなものほど人の心を動かすものだったりするからね。


では、4月の来日公演は、どのようなライブになりますか?

セクシー、ダーク、ムーディーで、ちょっと変わった予測不可能なライブを日本の観客の前で披露するのが待ちきれないね。日本の人々は、様々な音楽に対してオープンだし、音楽への愛がとてつもない。いくつかカヴァーもプレイする予定だし、もしかしたらあの“レディ”の名曲も披露するかもね!


最後に、来日するのはかなり久しぶりですが、楽しみにしていることは?

すべてをすごく、すごく楽しみにしているよ!行きたいレコード屋、古着屋、ギター・ショップをすべて巡るには時間が足りないかもしれないから、おススメを教えて欲しいね!後食べものも楽しみにしてる。東京という都市の持つエネルギー、多くの興味深い顔、そして秘めた“twin danger”は大好きなんだ。



"It Might As Well Be Spring" by Astrud Gilberto/Stan Getz
"Ain't She Sweet" by Gene Vincent
"Stolen Moments" by Oliver Nelson
"So Fine" by George Faith
"Some Other Spring" by Billie Holiday
"So In Love" by Curtis Mayfield
"Moanin'" by Art Blakey


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