ビルボードライブスタイル

杉山洋介[paris match]×クニモンド瀧口[流線形]



僕らを虜にした音楽


70~80年代のAOR、R&B、ブルー・アイド・ソウル、90年代のアシッド・ジャズ・・・・。 大人のリスナーに長年支持されてきた音楽=シティ・ミュージック。さまざまなジャンルの音楽を巧みにブレンドしたその上質のサウンドの魅力を4月の[ビルボードライブ東京]に登場する二組のアーティスト、パリスマッチの杉山洋介氏と流線形のクニモンド瀧口氏に語ってもらいました。

AORにはまった学生時代

杉山:僕が学生の頃はボビー・コールドウェルに代表されるAORが大人気でしたね。と同時にカフェバー、トロピカル・カクテルを思い出してしまうんだけど。
瀧口:僕は友だちの兄貴の影響で、中学生のときルパート・ホームズが好きになって、それからFMでエア・チェックを始めましたね。
杉山:ちょっと背伸びしたい年頃に買ったボズ・スキャッグスの『ミドル・マン』は、ジャケットの色っぽい写真にドキドキしました(笑)
瀧口:当時はそういう大人っぽい洗練された世界に憧れましたよね。
杉山:ディスコだと思っていたクール&ザ・ギャングとかレイ・パーカーJr.にもAORっぽい曲があったし。
瀧口:僕はニール・ラーセンとかクロスオーバーを聴きかじりつつ、80年代はUKの音楽に夢中になりましたね。
杉山:同じく。80年代にロンドンに住んでいた頃、ちょうどマット・ビアンコやスウィング・アウト・シスターが出て来てたんですよ。スタイル・カウンシルのライブもロイヤル・アルバート・ホールで観ました。
瀧口:“paris match”という名前もスタイル・カウンシルの曲名から付けたんですよね?
杉山:そうです。スタカンのあの洒落た雰囲気は衝撃でしたね。音楽もファッションも。
瀧口:僕はニューウェイブの後はエブリシング・バッド・ザ・ガール(EBTG)ですね。
杉山:EBTGのトレイシー・ソーンを含め、シャーデー、リサ・スタンスフィールドのような魅力的な女性ヴォーカリストが次々登場しましたね。R&B、ラテン、ジャズもそういう音楽を経由して聴いたのが大きかった。

UKからやってきたジャズ・ファンク

瀧口:そうですね。僕は二十歳の頃からジャズのレコード・バイヤーの仕事を始めたんです。ちょうどジャズ・ファンク~アシッド・ジャズが流行り始めた頃で、レア・グルーヴとしての昔の音源を聴き漁るようになった。
杉山:そのあたりから、DJを中心に60~70年代の音楽が再評価されるようになって。
瀧口:『URBAN CLASSICS』というコンピレーションのシリーズで、ジョニーブリストルやリロイ・ハトソンなどR&Bのメローな曲を知って、彼らの中古レコードを探したり。
杉山:それがフリーソウル系のブームに繋がり、若い世代にも新鮮な音楽として響いた。AORもブラック・ミュージックがベースにあるから、同じ感触で聴けるようになった。
瀧口:そうなんですよね。AORの名盤と呼ばれるアルバムには、ジャズ/フュージョン系の一流ミュージシャンたちが参加しているものが多いから、いま聴いても良いんですよね。
杉山:90年代前半はブランニュー・ヘヴィーズに代表されるアシッド・ジャズにはまりました。
瀧口:[ビルボードライブ]にも来ましたね。ひと回りしてまた新鮮なんじゃないかな?
杉山:僕もDJをかじったことがあるので、当時はロンドンまでネタになるレコードを探しに行ったりしてましたよ。
瀧口:僕はバイヤーだったので、お店でガンガン売ってました(笑)。パリスマッチの音楽にはたしかにアシッド・ジャズの頃の匂いがありますね。
杉山:クラブでかかる音楽の洒落た感じが好きなんですよ。あの頃のクラブはいまより大人の雰囲気がありましたよね。
瀧口:そうですね。アシッド・ジャズはジャズのコード進行に16ビートというのがカッコよかった。
杉山:好きな音楽にはいろいろ影響は受けてきましたけど、引用という意識もなく曲を作ったら誰それの曲に似ていると指摘されたり(笑)、もう血肉化しちゃってるんですね。

ビルボードのステージに向けて

瀧口:それ、分かります。90年代以降はCDの再発が増えて新譜も旧譜も同じ感覚で聴くようになったこともあるでしょうね。
杉山:日本のアーティストもおもしろくなりましたよね。流線形の日本のレア・グルーヴの取り入れ方にも驚きましたよ。
瀧口:70~80年代の日本の音楽も相当クオリティが高い。洋楽をいかに租借するかしのぎを削っていたんでしょうね。
杉山:聴き心地はメローでも、そのサウンドを担うミュージシャンの技とスピリットは熱いんですよね。
瀧口:だから、いまだに聴いて発見があるし、研究のしがいがある。
杉山:そうゆう意味でもスティーリー・ダンは別格。[ビルボードライブ]のグランド・オープンでのステージは完璧でした。あの贅沢感は人生でそう味わえるものじゃなかったですね。その同じステージに10周年に立てるのは光栄ですよ。
瀧口:今回は、出演メンバーがすごいミュージシャンばかりじゃないですか?
杉山:ライブで観たスティーリー・ダンの編成に影響されて、気張っていました(笑)
瀧口:僕もこの前、マイケル・フランクスを観に行って、あのゴージャスな空間でそう聴かせるのか、いま構想を練っているところです。
杉山:あの空間は気合いが入りますよね。
瀧口:流線形は男性のマニアックな音楽好きが多いから、この絶好の機会に女性ファンの拡大を狙いたいんですよ(笑)



杉山洋介[paris match]

19歳のときにプロ・デビュー。ロンドンで1年間の音楽修業の後、作曲・編曲・プロデュースを手掛ける。2000年にミズノ・マリとのデュエット、paris matchでデビューし、8枚のアルバムを発表。4月にはデビュー10周年を迎える。

クニモンド瀧口[流線形]

2003年にミニ・アルバム『シティー・ミュージック』でデビュー。DJや音楽通の間で話題を呼ぶ。2006年には『TOKYO SNIPER』を発表。比屋定篤子とのコラボレートアルバム『NATURAL WOMAN』は幅広い世代から支持されている。

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